inahachiの書評

日々読んだ書籍の短評となります

「ゼロ」 堀江貴文 

「ゼロ」 堀江貴文 2013年 ダイヤモンド社

 

実業家の堀江さんが、出所後に出した本。自伝的な部分と今後の所信表明を足したような内容となります。

バブル崩壊以降、日本の経済が停滞して失われた20年やら30年やら言われておりますが、その当時日本の経済を押し上げることが出来る可能性を持った堀江さんが既存勢力に押しやられました。堀江さんは当時既にテレビとネットの融合を提唱しており、現在の状況がある程度見えていたのでしょう。このテレビ局買収の仕掛けがもしうまくいっていれば、2020年現在のテレビやマスコミの凋落は無かったかもしれません。

ゼロの中では、30代は裁判と懲役でほとんど使ってしまったと言っている通り、堀江さんの30代を失ったことは、日本の経済にとって大いなる打撃だったと思います。

時代を牽引するリーダーを一人失い我々は大きな変革を恐れるようになったのでしょう。

さて、ゼロの後半では、堀江さんの仕事からカネに対する価値観を明確にし、最後は裁判によって失ったがゆえに固執することになる時間の有限さを説いています。

そして、本書の最後半においては、自らの所信表明でありつつ、読者への鼓舞で終わります。

「責任ある自由を手に入れるために、前を向いて現在を楽しみ、努力しろと。」

 

人生論だけでなく日本経済史のひと場面としても必読の一冊だと思います。