inahachiの書評

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「民族問題」 佐藤優 

「民族問題」 佐藤優 2017年 文春新書

元外務省分析官の佐藤優さんの著書。外交、政治とくにロシア関係には非常に強い方です。日本にも沖縄やアイヌなどの民族問題は若干ありますが、本土に住んでいるほとんどの日本人にとってはなかなか理解しがたいテーマではあります。もう少し昔に視点を戻すと江戸時代の藩制度はある意味民族的な繋がりがあったのではないか思われます。しかし、明治に入り廃藩置県以降はゆるやかな県民性に落ち着きました。もしかするとこの日本で起きた現象に民族問題の解があるのかもしれません。ともすると絶対的に思ってしまう民族や国家、国民などの概念はすべて人間の脳内で作り上げた幻想なので、単なる幻想にとらわれてしまっているだけとも思います。さて、そうは言っても多くの地域で課題となっている民族問題は実際の減少として理解しておく必要はあります。その一助として本書は有効だと感じます。