inahachiの書評

日々読んだ書籍の短評となります

「対話 人間の建設」 岡 潔、小林秀雄 1965年 新潮社

「対話 人間の建設」 岡 潔、小林秀雄 1965年 新潮社

 数学者の岡潔と文芸評論家の小林秀雄の対談。 この当時は、数学者と文芸評論家の対談が本になったりして時代なのですね。 現代では、文芸評論家が何かメディアで発言して注目を集めることなど見かけないのですが、当時は知識人としての地位があったのだと思われます。

さて、内容は非常に多岐にわたり、教育からサイエンス、美術、文学とさまざまなことを話題にして取りとめもなく進みます。 それぞれの章で同意したり、感銘したり、反論したりしながら二人の対話に自分の意見を重ねながら読むように出来ています。

その中で二つほど面白かった部分を紹介すると、最初の項の「むずかしいことが面白いという教育をしないのですな。」

現代の教育論にもそのまま当てはまります。

そして、中盤くらいにある俳句に関しての意見「もしも芭蕉という人を、もしも知っていたら、どんなに面白いかと思うのだ。」

俳句を学問するということの無意味さを切り裂きます。

ほかにも随所に面白い部分はあり、またこれは読む人それぞれに変わってくるのだろうとも思います。過去の知識人と対話したい方にはお勧め