inahachiの書評

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「サンデル教授、中国哲学に出会う」マイケル・サンデル

「サンデル教授、中国哲学に出会う」マイケル・サンデル 2019年 精文堂

ハーバード白熱教室のサンデル教授が意外と中国では受け入れられていることにまず驚きました。確かに、リバタリアン的な資本主義よりもサンデル教授の公益資本主義の方が、やや共産主義よりのせいかと納得しておきます。

その、人気のあるサンデル教授の論に対して、儒教的立場から様々な意見をぶっつけ、最後にサンデル教授の論を出すという形式で本書は出来ています。

儒教的教えと現在の共産主義の統治における矛盾は特に論点にはなっていないので、本質をついていない空論の空中戦のように感じました。

主題としておかれている正義の体現者は、公共と個人とどちらも影響を与えるのが正解だと思いますが、どちらかに寄せようとすることに何の意味があるのか難しいところですが、自省を促す材料としては良い本だと思います。